2026/01/05

極私的個人出版へ 1

DTP(デスクトップ・パブリッシング)が生まれたのは1985年。Apple社のMac(当時はMacintoshと呼ばれていた。最初は9インチのモノクロブラウン管を搭載したMacintosh 128Kあたりだと思われる)とモノクロのポストスクリプトレザープリンターの「LaserWriter」、それとAldus社(のちにAdobe社に吸収されInDesignの元になる)のPageMakerによって個人による出版物制作システムが生まれた。

僕がMacintosh SE/30を購入したのが1989年だったからDTPをスタートさせたのは割と早い方だったと思う。その後何台ものMacを買い換え続けて今日に至るわけだが、当時夢見ていた「個人出版」はいまだに実現されていない。DTPは個人向けというより出版事業の合理化の道具になってしまい、今思えば個人出版どころか制作現場の経費節約に成り下がっていったような気がしている。

とはいえデザイナーにとっては表現のすべてを自分の手元で完結できる喜びは大きかった。僕は20代の初めの頃は写植のオペレーター(及び写植版下作り)もやっていたので、文字が自分のものになることの嬉しさはひとしおだった。

昨今は「ZINE」(ジン)と呼ばれる個人出版、同人誌出版が注目されているが、その内実はどうなのかまだわからない。生活が成り立つほどの収益があるとは思えないが、DTPが目指していたものが実現化しつつあるのであればこれは良いことだと思う。「コミケ」や「文学フリマ」と呼ばれるイベントもその流れの一つなのだろう。

ここ数年同人誌制作を手伝っている。手伝っているというか、レイアウト、校正、印刷入稿までやっているのでほぼ一人で作っているような感じ。年3回ほど出版している。ページ数は100ページを超えているのでなかなか大変だ。同人誌なので費用は執筆している同人の出資でまかなっている。校正も基本的には著者校のみ。僕が校正するのは文字や句読点の間違い、改行のチェック程度。文章には手を入れない。
刷り部数は200から300部程度。ほとんどが執筆者の買取。執筆者の多くは現役を引退した建築関係、学校関係、デザイン関係の経営者や教育者っだったりした人。高齢者が多い。が、その執筆意欲には圧倒される。文章を書くこと、読んでもらいたい気持ちの強さが伝わってくる。

とまあ、そんな感じなのであらためて「極私的個人出版」に手をつけてみようかと思った次第。

続く。

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