2025/04/17

ルナティックス

明日、故郷の友人が上京してくる。幼稚園の頃からの幼なじみ。60年来の友人ということになる。彼は1級建築士の資格を持っていて数年前に東京オリンピック関連の仕事で東京にやってきた。彼の大学時代の友人が営む設計事務所の仕事を手伝っていたのだがオリンピックも終わり仕事も減ったので3、4年前に地元に帰って個人事務所を開いた。そこで東京の仕事を請け負っている。母親の心配もあったのだろうし購入した自宅も地元にあるから最初から予定していたことだったのかもしれない。

30歳近い一人息子は音楽関係の仕事をしながら東京で一人暮らしをしている。なので時々様子を見に東京に出てくる。

僕が一昨年、左足の悪性腫瘍の手術をしてからは一度も会っていなかった。彼が地元に戻ってから初めての再会だ。どんな話になるのだろう。会っても昔話はしないだろう。したくないというより老いたお互いの現在を励まし合うことになる。LINEのやり取りではそんな感じで励まし合っている。

月ネタは尽きた、なんてつまらない駄洒落を言ってもしょうがないが、MacのLightroomClassicに読み込まれたスナップ写真の記録を見ると、退院後(一昨年の12月末に退院した)から月の写真を何度も撮っていたことがわかった。何故だろう。身近に死を感じていたからだろうか。

昨年の8月にこんなことを書いていた。

……一昨日、松岡正剛さんが亡くなられていたことが公表されSNSでは哀悼とともに批判めいたコメントがいろいろと流れていた。僕は愛読者というほどでもないけれど工作舎が立ち上がった頃から様々な影響を受けてきたから、彼を嫉妬のように批判する輩は不愉快だった。ご本人はあっちで笑っていらっしゃることだろう。

僕の生業となったブックデザインやエディトリアルデザインの仕事は松岡さんと工作舎なくしては成り立たなかった。僕の世代前後のエディトリアル系デザイナーは皆同じようなものだったと思う。70年代から80年代にかけてのブックデザインの隆盛は松岡さんの存在なくしては起きなかっただろう。杉浦康平さんや松岡さんの元で働いていた、あるいはそこでデザインを学んだ幾多のデザイナーがその後のブックデザインの世界を牽引していった。私を含め市井の多くの無名デザイナーたちは彼らをどれほど羨んだことか。

先週だったか、SNSにナショナルジオグラフィックの「月」の特集の話が流れてきて、それが気になって読みかけ(四半世紀もの間)の「ルナティックス/松岡正剛著」をまた読みはじめたところだった。購入した当時はピンとこなくて途中で投げ出していたのだが、今読むと腑に落ちることがいろいろ書いてある。死とか不治の病とか考えていると「月」が身近に感じるようになるのかもしれない。装丁者の戸田ツトムさんは先にあっちへ行かれてしまったが。……

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